インテンシブで感じたこと

インテンシブは、主に教会開拓者向けに行われる2週間の集中トレーニングです。応募プロセスを経た参加者とその伴侶、既にミニストリー経験のあるオブザーバーが集まり、世界各地のCity to Cityで開催されています。今回は、2020年に初めて東京で開催された日本インテンシブでボランティアサポートスタッフとして働いてくださった大畑さんにお聞きしました。(写真前列左から一人目)次回日本インテンシブは、2022年9月末開催予定。参加についてのお問い合わせはこちらをクリック

ーこんにちは、初めに簡単な自己紹介をお願いします

大畑瑠花(おおはたるか)です。三重県出身で以前は病院で栄養士として働いていましたが、1年半前に教会開拓のインターンをするため東京都世田谷区に引っ越してきました。昨年の4月からは、丸の内パートナーシップという次世代の教会リーダーを育成するトレーニング”samurai projects”を週2日受けながら、そのほかの時間は教会開拓の働きをしています。主に、子どもと保護者のためのミニストリー、大学生や社会人のためのミニストリーを担当してます。”samurai projects”に一緒に参加している韓国人の方の影響で、今は韓国にどハマりしています。

ーそうなんですね、なぜインテンシブでボランティアをすることになったんですか?

ちょうどインテンシブの1ヶ月前に東京に来ることになっていて、知人から「東京にいるならインテンシブでボランティアをしてみない?」と言われたのがきっかけです。一緒に働いている宣教師に尋ねたところ、彼も参加者として参加することになりました。

ー会期中に印象的だったことは?

事前に想像していたのは、教会開拓のハウツーを学べるセミナーなのかなと。でも、どうすれば効果的で成功する教会開拓ができるかよりも、霊的な成長について、また自分の偶像や悔い改めについて取り扱われていたところが印象的でした。また、いつもは教える側の牧師たちが弱さを分かち合っていて、ふだん講壇に立っている姿とは違い、彼らも私と同じ罪人なんだなと思えてそれが印象的でした。

ーインテンシブに関わる前と後では、どのような変化がありましたか?

ミニストリーを始めたばかりだったので、変化は分かりませんが、、、具体的に一つ上げるとしたら、資金調達についてのレクチャーを聞けたことに感謝でした。実はインターンを始める2ヶ月前にサポートレイズをするというチャレンジがありました。正直、サポートレイズは絶対にしたくないと思っていたので、直前にそれがわかったときとてもショックでした。というのも、それまでサポートレイズで上手にアピールしている人たちを見ていて、私にはとてもできないという苦手意識があったからなんです。感謝なことに神様が母教会の兄弟姉妹がを通して助けてくれて、支える会を立ち上げ、サポートレイズをすることが出来ましたが、、、

でも今度は、サポートしてもらっているのに私は何も出来ていない、こんなんじゃ怒られる、サポーターに申し訳ない、と思うことが度々あって、とても苦しかったです。そんな中、インテンシブの学びで言われた「サポートレイズはされる側ではなく、する側が神様にとても祝福される」との講師の言葉が印象に残り、それからそういう罪悪感を抱くことは少なくなりました。むしろサポーターの方々が神様に祝福されるよう祈りたいと思うようになりました。

これから開拓伝道を始める、という時にインテンシブに参加する機会が与えられたのは、そういう意味でもとても感謝なことでした。特に私は東京に引っ越してきたばかりだったので、全くと言っていいほどネットワークがありませんでした。インテンシブに参加したことで、同じく教会開拓に携わっている方と知り合えたことも、私にとって大きな変化でした。

ーそれはよかったですね。瑠花さんは開拓スタッフとしての視点でインテンシブを見ることができましたが、これからどんな方に日本インテンシブ参加を勧めたいですか?

これから教会開拓をする方、実際にはじめた方は、学びだけでなく一緒に助け合える仲間も与えられるのでお勧めしたいです。また、教会の再生、新しくされることを願っている方々も、オブザーバーとしてでも参加されるといいと思います。もっと言えば、長年日本の伝統的な教会で牧会されている牧師先生方にも参加していただきたいです!

ー確かに、信仰の基本に立ち返る経験になりそうですね。瑠花さんは教会開拓に実際関わり始めて1年あまりですが、苦労と喜び、それぞれ教えてください。

苦労は、沢山ありますが、一つ上げると、人間関係です。一緒に教会開拓をしている宣教師が私の母教会でインターンをしていたので、元々信頼関係がありました。なので、一緒に働くことを楽しみにしていて、期待が大きかったと思います。当たり前のことかもしれませんが、想像以上に日本人、外国人で文化の違いがあることに衝撃を受けました。

私は教会開拓の働きを始める前、日本の病院で働いていたので、そこでの働き方と、宣教師のミニストリーに対する働き方の違いにも驚き、理解に苦しみました。今もまだ理解しきれていません。また、同じチームでも、上司だから言いたくても言えないとか(1年経ってだいぶ言えるようにはなってきましたが)、日本語と英語のニュアンスの違いで傷つくこともありました。その中でどのように彼らを赦して、愛したらいいか、苦労しました。長年日本で牧会してきた宣教師の先生に、宣教師と一緒に働くことへのアドバイスを求めたら、”Do not work with missionaries.”とジョークで言われました、笑。ですがその後にみことばを示し、愛をもって互いに歩み寄り合うことが大事だと教えてくれました。神様の働きがなければ私は怒りでいっぱいになっていたと思います。でもそういう悔い改めるきっかけや、話を聞いてくれる仲間、みことばを神様が与えてくださって、怒りに囚われずにすみました

喜びは、私がまだ今も開拓伝道を続けていられていることです。また、このコロナの状況でも、少しづつですが前に進んでいることです。インテンシブでも、日本で伝道することがどれだけ難しいかということも話題になりました。ですから私は、「誰も教会に興味がない、誰も聖書に興味がない」かも、と思ってたんです。でも、東京の方々は思っていた以上に教会にオープンでした。イベントを開催する時、一人でも参加してくれるように祈るのですが、いつもキャンセル待ちになります。聖書のお話を幼稚園の子供たちにする時、誰も聞かないだろうなと思ってしまうのですが、中には「聖書の話が一番面白かった」、とか「イエス様の話聞くの楽しみ」と来てくれる子がいます。そういう時、神様の働きに圧倒され、自分の不信仰さに気づき、悔い改めへと導かれます。神様が私の想像を遥かに超えて働いてくださっていることがとても喜びです。なので、希望を失わずに今も教会開拓のインターンを続けられているのかなと思います。

ーコロナ禍で自分の働き方や生活にどのような変化がありましたか?

私が教会開拓の働きを始めた時もすでにコロナ禍だったので、働き方の変化は分かりませんが、クリスチャンの交わりの場所が極端に減ったと思います。東京に行くことが決まった時は、行けばたくさんのクリスチャンの交わりがあることをとても期待して、楽しみにしていました。でも来たばかりの時はゼロに近かったので、とても悲しかったです。イベントを開催する直前に緊急事態宣言が出されたりした時は、『コロナじゃなければ』が口癖でした。でももしコロナじゃなかったら、こんなにもゆっくり、交わりをもったり、祈る時間がなかったと思うので、逆によかったとも思います。以前は休みがあれば友達と遊ぶという生活だったのですが、休みの日は一人で過ごすことが多くなりました。

ー自分自身のケアはどのようにしていますか? 

ミニストリーの働きをする前に、自分自身と向き合うことや、自分自身をケアすることは意識的にやったことがなかったんです。きっと友達と旅行に出かけることでリフレッシュできていたというか、でも今思えば現実逃避でした、笑。セルフケアの仕方なんて全然分かりませんでしたが、上京して分かったのは、私にとって、一つは自然を見ることがリフレッシュだということです。田舎で育ったこともあり、都会から少し離れた自然の多いところに行くことで癒しが与えられることを実感しました。なので定期的に自然の多いところに行けたらと思っています。

もう一つは、毎日福音を自分自身に語ることです。自分はどこかに属していたり、自分の居場所があることがとても大事なので、東京に来てそれがないと感じる時とても不安になります。でも自分に福音を語り、もうすでに神様の子どもであること、福音の強い土台があることをリマインドすることで、不安から解放されるようになりました。

ー現実逃避じゃなくて、福音逃避ですね。そんな瑠花さんの今の座右の銘は?

これはクリスチャンならみんな座右の銘にすると思うのでそれほど珍しくないですが、「すべては神様の栄光のため」です。

自分の罪が見えれば見えるほど、自分がどれほど自分の栄光を求め、見返りを求めているのか、見えてきました。自分ではなく神様の栄光を求めて生きていきたいと心から願っています。

ー今後期待していること、やってみたいことは何ですか?

今期待していることは、世田谷の松原という地域で、神様が中心にいる新しいコミュニティーができることです。そして初代教会のように支え合い愛し合うそんな生き方ができたら嬉しいです。そのためにも、地域の人が集まりやすい場所ができたらと思います。今は、月に1回、未就学児を対象にバイリンガルのイベントを行っていますが、いつもその後に公園でピクニックをしています。回数を重ねるたびに、より関係が深くなっていること、コミュニティーになっていることを感じています。でも月に1回しかないので、より関係を深くするために何かできたらと思っています。

あともう一つやりたいことは、私と同じ世代の人たちへのアウトリーチです。1年半経っても、近所に同世代の友達がいません。ずっと祈ってきたのですが、これはコロナ関係なく難しいです。独身で孤独を感じているような人のために、近所に誰も知り合いがいない人のために何かできたらいいなあと考えています。


大畑瑠花
Luka Ohata

栄養士として病院勤務の後、2020年より東京世田谷区で宣教師チームとともに教会開拓に携わっている。趣味は山登り、お菓子作り、カフェ巡り。