ニューノーマルと祈り


祈りとリズム

私が以前ラグビーをしていた頃、イングランド代表コーチに教えてもらったことがあり、その経験はスポーツ以外の場でも参考になりました。


例えばある時、代表コーチがこう話してくれました。「大きな重圧の中でもいざという時に良いパフォーマンスができる選手がいるのはなぜだと思う? 決め手はリズムなんだ。それまで何千回も練習でやってきたルーティンを頭と体が覚えていて、それを実践しただけなんだ。確実に結果を出すプレーヤーになるってそういうことなんだよ。」

この1年半、コロナ禍の厳しい状況の中、気分を切り替え、力を取り戻し続けるためにどれだけルーティンが重要だったことか。最近、それを同僚の牧師と思い出していました。あれもこれも宙ぶらりんの状態、様々な場面でそれまでの課題が表面化した時、学校休校による家庭での学習、牧会上での困難、一時帰国、ズーム疲れ、喪失感など、あれやこれやで頭の中が混乱していた時、祈りのリズムが私を支えてくれました

この歴史的瞬間

私は今後、半年から一年、いわゆるニューノーマルに移行する時期は、チャンスだと思っています。ティモシー・ケラーは、9.11のテロ事件後のニューヨークでは人々が激しく動揺し、その後半年から一年は、新しい生き方を模索するような時期があったと述べています。しかし間もなく、人々はバンジージャンプをした直後のように、以前の「ノーマル」の感覚に戻って行きました。無関心が再来し、心の壁がまた高くなりました。

今回も人々は今まで以上に何かを求めています。西欧社会の土台が揺らぎ、今までできるだけ避けてきた最大の現実、すなわち死という問題に直面し、私たちは大きな疑問を抱くようになりました。ところが私自身はどうかと言うと、疲れ果てていますし、皆さんもそうなのではないでしょうか。そんな中、どうすれば人々の疑問に答え、今のような機会を生かすことができるでしょうか

そのためにも日々の霊的なリズムが必要だと思うのです。特に、私は「フロントラインの祈り」をおすすめしたいと思います。

フロントラインの祈り

フロントライン(最前線)の祈りは、個人的な祈り(自分や家族、友人などのために祈ること)とは異なります。イザヤは、それを見張り番のようなものだと語っています。

エルサレムよ、わたしはあなたの城壁の上に見張り人を置いた。終日終夜、彼らは一時も黙っていてはならない。思い起こしていただこうと主に求める者たちよ、休んではならない。

主を休ませてはならない。主がエルサレムを堅く立て、この地の誉れとするまで。

イザヤ書62:6-7 (新改訳2017)

同様に、神はコロサイ人への手紙で、私たちが祈りに専念するときには「目を覚まして」いるようにと勧めています(4:2)。最前線での祈りは、地平線に目を向け、次の霊的な攻撃や機会がどこから来るのかを見張り、新たな土地を開拓し、神が天のエルサレムを築くまでその使命を前進させます

また、私の住む都市で、神がしていることに注意を払い、自分が住んでいる町にどんな必要があり、どう応えたらいいか、福音がどうその答えになるかに注目します。教会ができることはいろいろあるでしょうが、そのためにまず何をすべきでしょうか?

私自身は、朝一番に個人的な祈りをし、昼休みに少し静まり、教会のため、ミニストリーの必要のため、フロントラインの祈りをします。また、月に半日、数ヶ月に1日、霊的なリトリートのための時間を設けています。しかし、砂漠の教父たちも見られるように、リトリートとは霊的戦いからの退却ではなく、さまざまな雑事から離れ、祈りを通して霊的戦いに集中するための退却です。

もし、自分の住む町で何から始めればいいのか、何を祈ればいいのかわからないなら、拙著『5 Things To Pray For Your City』のような本を使うことをお勧めします。都市生活で祈りを必要とする21の分野を中心に、都市での人間関係、疎外された人々や都市に集まる外国人との出会いなど、毎日1つの分野について祈ります。その中で、その町全体を知り、フロントラインの祈りとして具体的にどこに注目するべきかを探っていきます。まずはフロントラインの祈りというものがあることへの気づき、そして今、与えられている機会を十分に生かすための知恵を、主が皆さんに与えてくださいますように。(コロサイ4:5)

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著者

ピート・ニコラス

Pete Nicholas

リディーマー・シティー・トゥー・シティーネットワークに属するInspire London教会の主任牧師。シティー・トゥー・シティーUKのエグゼクティブチームのメンバーでもある。Christians in Sport勤務、テクノロジー業界の経営コンサルタントとしての経験もある。著書に「Virtually Human」、A Place for God」、共著に「5 Things to Pray for Your City」がある。

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