コロナ渦での教会開拓

2020年2月27日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、安倍晋三前首相は全国の小中学校と高校、特別支援学校に臨時休校を要請する考えを表明しました。続く2020年4月7日に東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言を行い、4月16日に対象を全国に拡大しました。

その頃、私たち、Bread of life churchは、2019年1月に開拓をはじめ、まだ1年しか経っていない状況でした。教会員もまだ少数で、感染防止対策もしながら通常通りの礼拝を続けました。徐々に広がるパンデミックの中、私たちは教会の働きをどのようにしていくべきなのか、祈りながら主に答えを求めていきました。

教会学校の働き

まず突然行われた一斉休校で行き場を無くした子供たちのために、小規模ながら子供たちのための教室を開きました。牧師・宣教師家庭の子供たち中心で集まりましたが、このような状況の中、伝道の機会になるかと、地域の子供たちも数人加えて進めていきました。

10人にも満たない人数とはいえ、「集まらないように」する一斉休校中、「集まる」働きでしたので多少の心配もありましたが、衛生面で細心の注意をしながら取り組んでいきました。「家にいるとゲームばかりになってしまう」と地域のお母さんたちからも好評でした。

また、元シェフの担任牧師、金炳秀(キム・ビョンス)牧師によるピザ作り、子供・大人向けの語学クラス、韓国語クラス、外国人のための日本語クラス、また美術講師をしている私の子供アートクラスなど、小規模ながらも充実した教室(Bread of life church school以下BCSと表記)として構成されていき、この働きは後に私たちの教会の地域宣教のメインの働きにまで発展していきました。

BCSは1-2年続いていますが、足りない人手の中、まだ信仰をもっていない学生も働いてくれました。続けているうちにその学生も信仰を持つようになり、現在洗礼を受ける準備をしています。地域の子供たちも、この数か月は教会との信頼関係が続いているため、親がいなくても日曜の礼拝にも参加するようになりました。このような状況下でも働かれる主に感謝を覚えます。

個人的には、子供たちが学校に行ってしっかり勉強に取り組んでほしい時期でもありましたが、結婚して以来、3つの教会開拓で本当にせわしない時期が長年続いていたので、我が子と一緒に過ごしながら楽しく働けることも感謝なことの一つでした。

オンラインの働き

2020年3月から、ZOOMを使ってのライブ配信でオンラインの働きが始まりました。夫の小倉隆志牧師は普段、母校(早稲田大学)を中心に伝道活動をしていました。学生向けの働きでしたので、コロナ禍で大学構内にも入れず、学生たちにもなかなか会えない状況が続いていました。祈りながら悩んだ末、いろいろ試行錯誤しながら、海外にいる協力宣教師たちにも助けられながら、平日夜間を中心とした、求道者向けの英会話、歴史講座など開設し、聖書の学びにつながるような機会を設けました。その中から信仰を持つにようになった方々もいるそうです。オンラインなので、海外在住、地方在住の方もいます。教会で実際に会えなくても、神の国が広がっているという感謝があります。最近は都内に住んでいる方々が徐々に教会にも導かれているので、働きの実りが見られるのも間もなくだろうと信じています。


美術教師としての働き

私個人はコロナ渦以前の2014年から、教会で大人向けの美術教室を開いていました。日本では教会に足を踏み入れる機会が少ないので、少しでも教会について知ってほしいと考えての働きでした。主にSNSやプラットフォームサイトで集客していましたが、なかなか生徒さんの定着が難しく、メンバーが毎回総入れ替えする状況が長年続いていました。その中でも何人かは、夫と聖書を勉強するようになった方々もいますが、遠回りのように感じ、いつまで続けるか悩んでいました。ただ参加者が途絶えることが無かったので、主の導きを求めつつ続けていました。その矢先のパンデミックでした。緊急事態宣言が出された途端に予約は次々とキャンセルされ、2020年4月は1回も開催できませんでした。

その頃もBCSの働きは続きましたが、それ以外の時間は悶々としていました。聖書絵画解説や絵の描き方の動画を制作してYouTubeにアップしたり、通っていた版画工房で版画を制作したり、読書したりと、あれこれやってみていましたが、どれも自分がやることとしてはしっくりいかないといった心境が続きました。そのような中で、コミュニティーアーツ東京が主催するクリスチャンアーティストのZOOM meetingが開催され、まだこれというものが何も出来ていない私ではありましたが、興味本位で参加しました。主にコロナ渦でのそれぞれの働きについてシェアする内容だったと思います。

ZOOMもほとんど使ったことの無い私ではありましたが、ZOOMに音や、画面の共有など多彩な機能があることにも驚き、何よりもパンデミックの中、クリスチャンアーティストたちが精一杯、様々な活動をしていることに大きく励まされました。私も悩んでばかりいないででやってみようと決断し、オンラインでアートのレッスンを開催してみました。4月に教室に来ていた生徒さんらにモニターとして参加していただき、練習を重ね、5月からは本格的に開始しました。結果は、予想以上にニーズがあり、リピーターも順調に定着し、国内外から生徒さんは増えて、教室としてやっと成り立つようになりました。そしてこの働きを通してどう福音を伝えられるかがずっと課題でしたが、オンラインレッスンは自宅から気楽に参加できるため、レッスン中もプライベートな話がお互いに出来ること、私自身カウンセリングの資格もあるため、信頼して個人的な悩みも話してくれ、そこから福音について話し、聖書の学びにつながり、神様を信じ受け入れたケースもありました。最終的な目標は、彼らが教会にもつながり、主の弟子になること、共に働き人として、またリーダーとしても成長していくことです。紆余曲折がありましたが、様々な人々の祈りに支えられ、最近は徐々にですが教会に導かれる人々も出てきて感謝です。

まだまだ私たちの働きは始まったばかりです。でも今後も主の導きを期待しながら頑張っていきたいです。ぜひ、とりなしの祈りをよろしくお願いいたします。

著者

小倉淑子

Yoshiko Ogura

武蔵野美術大学 油絵学科 版画コース リトグラフ専攻卒業後、2005年、埼玉県さいたま市にて教会開拓。その後、山梨県甲府市にて教会開拓兼、美術教室を始める。2016年、プロフェッショナル心理カウンセラー資格取得、全国心理業連合会会員。2019年、夫の小倉隆志(おぐら・たかし)牧師と東京都新宿区にて現在bread of life churchを開拓。2020年、オンライン美術教室グレースアカデミースタート。

http://breadoflife.tokyo

https://youtu.be/ANAeeOE4NxY