佐賀バイブルチャーチは日本同盟基督教団が2022年6月27日に開所式を持ち、私たち夫妻(私67歳)を派遣して始めた開拓教会です。義母(91歳)も共に佐賀市鍋島に拠点を移し、夫婦で教会活動を開始しました。今回の日本インテンシブは、教団の伝道部長から紹介され参加しました。
私は今まで教団、超教派の様々なセミナーを受講し、多くの恵みと知恵をいただいて教会形成と宣教に生かしてきました。また大きな賜物のある牧師の教会成長セミナーに参加し、夢を膨らませて所属教会に適用してきました。どれも素晴らしい内容でした。ただ、心のどこかでA牧師、B牧師だからできたのではないか? と問いかける自分自身がいました。私はA牧師でもB牧師でもない、私はどうあるべきであり、どのような教会開拓をすべきなのか、とよく考えさせられました。ダビデが巨人ゴリアテと戦った時、サウルのよろいと青銅のかぶとを借りることなく、日頃、自分自身が使っている石投げと石でゴリアテを倒し勝利しました。私も借り物ではなく、主が与えてくださった私自身と教会スタッフを、佐賀という宣教地においてどのように活かしていけば良いのかを考え、計画、実行していくために、このインテンシブは大変有意義な学びでした。というのも、このトレーニングは単にティモシー・ケラー牧師とニューヨーク市のリディーマー長老教会の成長を学ぶものではなく、参加者が講義から自らよく考え祈り実践していくものだったからです。
この日本インテンシブとは何だろうかと考えた結果、私なりに意訳すると「教会開拓と成長の集中訓練コース」または「教会開拓短期学校」でした。インテンシブから3か月経過して振り返って、恵みを3つにまとめました。
第一に素晴らしい講義でした。日本語と英語で、参加した日本の教師、韓国、米国、オランダ宣教師にとって大変聞きやすい内容でした。また初めてお会いする講師の方々はスーツ姿の方もいればネクタイなしでカジュアルな服装の方もあり国際色豊かでした。何よりうれしかったのは講師の方々の名前と教会名、現在の立場が明らかにされたものの、彼らの学歴や物々しい経歴が知らされなかったことです。後になってからそれぞれの講師がどのような方かだんだん分かってきて主に感謝しました。この学歴を記載しないという点は、参加者に対して彼らが講師であるとともに仲間でもあるということを認識させ、上の者が下の者へ語るという構造ではなく、同労者意識を育てる意味で良かったと思います。
例えば、講義の中で、講師自身が進めた教会開拓で苦しかった証し、「挑戦と失敗の繰り返し」といった証しは、聞く側は大変共感を覚え、教えられました。その中の幾つかを記します。
1.「祈りのセミナー」
マルコ10章14-16節から、整然としていなくても子供のようにという点。イエス・キリストへの祈りは子供のように、心にあることを何でも祈ります。無力なまま福音に心を置いて主に祈ります。ヨハネ15章5節b「わたしを離れては、あなたがたは何もすることができないのです」
2.「人間関係による伝道」
「友情伝道と関係伝道の違い」「知恵を持ってつながっているのか。それを妨げるものは何か。相手があなたに歩みよってきているのか。」
3.「福音の文脈化」
マタイ21章28節から31節から「創造:文化に入る。堕落:文化をチャレンジする。贖い:キリストを提供。刷新:キリストにあってその文化を安定化させる。回復:その文化に対してキリストにある希望と未来を示す」。神学校で理論を教えていただきましたが、その後の現場適用がうまくいかず苦慮していた時で、私にとってこの講義は具体的で現場ですぐに適用できるものとなりました。
4.「教会開拓戦略」
講師から「夢として地域にどんな変化が起こるのを願っていますか」と問われた時、地域変化よりも教会についての変化を考えていましたので、大変驚きました。宣教は教会主体であるとともに、地域の福音化を絶えず目指さなければならないということでした。誰もが教会の礼拝出席者数、洗礼者数の増加を求めます。私は今もこの点を願っていますが、これらは結果であって、第一に求めるべきものは「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである」(ヨハネの福音書3章16節)こと。つまり教会の使命は、イエス・キリストを愛と真理によって宣教地で伝え、「信じる者が一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つため」にあることと教えられました。佐賀市の寺社数は人口約23万人に406か所。これは福岡市の人口約160万人に402か所の寺社数と比較して祖先崇拝が盛んであることを示しています。この地の人々が主をほめたたえる人で満ちることを夢見ています。
第二に参加者による恵み溢れる交わりでした。日本全国、外国からの参加者と講師は、休憩時間、昼食時間に初対面にもかかわらず、以前からの友人のように宣教、講義内容、その他について話し合い励まし励まされました。年齢も国籍も様々でありながら話し合えたのは「教会開拓と成長」という同じ重荷を持った同労者だったからでしょう。
第三に主日礼拝への出席でした。日頃、奉仕している現場の教会から離れての他教会の礼拝出席は新鮮でした。私共夫妻は名古屋まで足をのばして、講師の1人が牧会する教会の礼拝に参加し、恵みに満ちた説教、異なった礼拝の在り方、出席者、礼拝後の交わりは大変刺激を受けて多くを教えられ感謝でした。
「挑戦と失敗の繰り返し」の中で、日本と世界が一日も早く福音化されることを願ってやみません。