CTCJでは、教会開拓者のための学びの機会を提供しています。代表的なものは隔年で開催される2週間の集中講座「インテンシブ」です。その後説教、祈り、コーチングなどさまざまなテーマで提供される「コーホート」があります。約6週間ほどオンラインや対面でワークショップ形式で行われます。昨年9月から今年2月まで全6回で行われた翻訳コーホート(オンライン)は、おもに開拓中の教会で翻訳や通訳の奉仕に従事している方たちを対象に開催されました。参加者の金田真依さんにお話をお聞きしました。
ー教会インターンとして普段、翻訳通訳にはどのように関わっていますか?
礼拝メッセージは事前にもらった原稿を翻訳し、スライド作成チームに送っています。元々英語のコンテンツが多いので英訳の必要より日本語訳の必要があります。日本語への通訳は自分含めて3人ほどが担当しています。その他イベント、ミーティングではキーワードだけ調べておいてその場で通訳します。対象はバイリンガルで両方ともできる人、勉強中の人、片方だけわかる人とレベルが様々です。メッセージを担当する人もバイリンガルで両方できるし、自分で自分を通訳できる人が多いのですが、もしかしたら息継ぎやタイミングのために通訳という存在が必要なのかもとも思います。一人で英語、日本語を話すよりも、それぞれの言語の担当を分けたほうが、よりメッセージの内容が細かく伝えられるのではないかなという印象です。
ー翻訳コーホートに参加したきっかけについて教えてください。
担当者や牧師からのお聞きしたのもあったのですが、普段からティム・ケラーや教会開拓についての著書「センターチャーチ」の話をよく聞いていました。「センターチャーチ」の内容も取り扱うと聞いて興味を持ちました。
ー参加して何が一番印象に残っていますか?
色々な背景、教会からの参加者の様々な意見が聞けたことです。イエスの福音を信じているのは同じなのですが、様々な教会から集まる人たちは自分が普段いる世界とは違う雰囲気があって、それだけでも印象に残りました。
また日本語の豊かさに気づくことができました。普段、教会では英語での会話が多く、機械翻訳を使ったりすることが多いので、参加者の話から日本語のフォーマルな表現を聞いて懐かしい気もしました。そういう表現の方がもしかしたら日本人に伝わりやすいのかもと思うことも気づきでした。自分がそういった日本語の良さを忘れやすい環境にいることもわかって、日本語の表現力を高めたいと思いました。そのために三浦綾子の「塩狩峠」など日本語の本を勧められて読んだり、普段の他の人の通訳を聞きながら、日本語の使い方、選び方を意識するようになりました。
ー参加した前と後では何か違いがありますか?
通訳の時に限らずですが、文脈化をより意識するようになりました。また自分のいる国の文化というものを知るきっかけになりました。
たとえば、仮に自分が日本人だけの教会にいるとしたら、と想像できるようになりました。また日本文化といっても、世代によって違うと感じていて、人に対しての興味がさらに湧きました。私自身大学生活は海外だったので、自分より若い学生たちに今の学校生活を聞いたり、自分の経験とは違う人たちの経験を努めて聞くようになりました。また日本のことをよく調べている外国人からも教えてもらい、日本を再発見しています。私は金沢出身なのですが、伝統芸能の良さを改めて味わっています。逆に神社や占いという日本文化の中で、福音とは違うものを土台とする部分について考えたり話し合ったりするようになりました。
ーどのような人にこのコーホート参加を薦めたいですか?
教会で通訳、翻訳の奉仕に携わっている人/これから携わりたいと思っている人はもちろん、「センターチャーチ」に興味がある人にもお勧めしたいです。教会で「センターチャーチ」のことはよく聞いていたのですが、とても分厚い本で、自分で読んでわかりづらかったところを、コーホートで話し合う中で他の人の視点から確認できることがありました。
ー今後このようなコーホートに対する期待や希望があれば教えてください。
一緒に参加している人同士のグループLINEを第一回目で作って互いに意見交換したりアドバイスを求め合ったりできるプラットフォームを作るといいなと思いました。マスタードシードでは、週の間のミニストリーで自然と通訳にチャレンジする人が増え、将来的に日曜礼拝のメッセージの通訳へと導かれるシステムができています。ただ、同じ言葉でも表現の違いによって伝わり方が違うとも思います。通訳者が言葉の意味を実感していることが大事なのはもちろん、プレゼン、表現方法の工夫も大切だと思いました。