CTCJでは隔年でインテンシブと呼ばれる教会開拓者のためのトレーニングセミナーを開催しています。そのインテンシブについて、CTCJスタッフでインテンシブコーディネーターの島谷知明にインタビューしました。
ーこんにちは、まずは自己紹介をお願いします。
島谷知明(しまたにともあき)です。周りからは「とむ」とか「とむさん」と呼ばれています。今は妻と二人で神戸在住、Light Project(信仰と仕についてのミニストリー)関西ディレクターを務めています。今年からCTCJのスタッフに加わりましたが、これまでに住宅メーカーの営業、神学校の開設スタッフ、地域教会の牧師、宣教師との教会開拓など様々な仕事を経験してきました。
クリスチャンになったのは20代後半、転勤先の山口県で出会った一つ歳上の宣教師と仲良くなり聖書を読むようになってからです。実はそれ以前名古屋にいた頃、妻が信仰をもち、山口に引っ越してからも自分で色々と探して教会を見つけ、一時期は片道1時間半もかけて通っていたんですね。そこまでして行く価値があるものかと不思議でした。当時、営業の仕事は楽しかったものの、長時間労働や昇進できたその先のことを考えると、そもそも働くとは、生きるとはどういうことなんだろうという疑問がわいてきて、心理学や哲学の本を読み漁りました。でもこれといった答えが見つからなかったんです。それで、教会に足を運んでみました。一緒に遊ぶ友人のような存在になった宣教師から一通り聖書について学んだ後、「とむはもう聖書の言ってること信じているみたいだね」と言われました。私は信じるなら聖書を全部読んで、よく理解してからでないと神様に失礼だと思っていたんですが、「牧師をしている僕だってまだわからないところだらけだよ」と言う彼と話しているうちに、全部わかって受け入れるのが承諾、わからなくても信じるのが信仰なのだと思い、信じる決心をしました。でもそんなふうに始まったので、それから少しずつ理解を深めてきた、と言ったところですね。
ー今回コーディネーターを務めているインテンシブとはどのようなものですか?
簡単に言うと、日本の都市部で教会開拓を考えている人たちに向けての集中型トレーニングです。ビジョンや戦略の立て方から必要な神学、ファンドレイズに関するまで、教会開拓に必要となることを2週間で集中的に学びます。私自身は開拓者として参加したことはないですが、前回のインテンシブでは信仰と仕事のクラスの講師として一コマ担当し、オブザーバーとしてオンラインで参加しました。
ーご自身はインテンシブに参加してどのような変化がありましたか?
今まで教会開拓と言えば、手探りで徐々に行っていくものという感じで、あまりそれに特化した訓練というものは聞いたことがありませんでした。教会開拓をして行く中でぶつかる様々な問題や葛藤、またそういうことに対する準備や対応の仕方を組織的に学べる機会があること自体、素晴らしいと思いました。また、教会開拓をして行く上で、ぶれてはならない点が明確になったことも良かったと思います。
ーぶれてはならない点?
福音中心であることです。もちろん、どの教会のスタート、ゴールともにそうだと思いますが、やっているうちに様々な困難や誘惑ゆえにぶれていってしまうことがあると思います。特に教会開拓者にとってインテンシブは、仕事にだけでなく日常そのものに福音を落とし込んでいくこと、福音に生きることを教え励ますトレーニングだと思います。
ー開拓者としてご自身の経験上、難しかったこと、嬉しかったことをそれぞれ教えてください。
私の場合、宣教師と共に開拓して来たので、宣教師たちと背負っている文化背景の違いをすり合わせていくのが難しかったです。逆に嬉しかったことは、開拓教会は、既存教会と違ってこれから独自の文化を創り出して行けるという点でしょうか。
ー独自の文化ですか?
そうです。でも新たに文化を作って行くと言うより、必要に応じて柔軟に適応して行く、イノベーティブであり続ける文化です。例えば既存の文化ですと、時代とともに形骸化した習慣を変えるにはなかなかの労力が必要ですが、開拓だと比較的スムースに変化に適応できる気がします。
ー家庭と仕事とのバランスはどのようにとっていますか?
私の場合、いくつかのミニストリーを掛け持ちしていますのでその間のバランスを取るのが難しい状態です。さらに家庭ともバランスを取って行かなければなりませんから、すべてをきちんとスケジュールに落とすことを習慣にしています。休みの日や個人的なこともきちんとスケジュールに入れて、1週間の仕事と家庭、個人生活のバランスが取れているかチェックしています。
ーご自身のケアはどのようにしていますか?
毎朝のデボーションで神様との対話から一日をスタートするようにしています。霊的健全性は最も大切な事柄だと認識していますので…。あと、月に1回、祈りのパートナーと祈りの時間をもっています。彼には何でも話せるので、心の中の葛藤も含めて洗いざらい語り、フィードバックをもらっています。また週に2回はジムに行って身体を鍛えています!
ーコロナ禍でご自身の仕事や家庭生活にどのような変化がありましたか? それにどう対応していますか?
家の中で仕事をする機会が増えたので引越ししました。以前住んでいたアパートは寝室が一つ。そこに私がずっと陣取って作業をしたり、オンラインでミーティングをしたりしていると、妻は家の中でも自由がない状態でした。というわけで、もう少し部屋数が多く私が一日中家に居てもそれほど影響のない家に引っ越しました。今は自分専用の部屋があるので、とても快適です。
ー座右の銘は?
それほどたいそうなものではないのですが…、「福音は背中で語れ!」ですかね…。福音は言葉で語るだけがすべてではなく、生き方や言動にも表れる必要があると思っています。それには、さっきお話ししたような福音に生きる日常が大切なんですよね。
ー他の牧師、伝道者、ミニストリー従事者に、CTCJのインテンシブ参加をお勧めしますか?
はい、お勧めしたいと思います。教会開拓者だけでなく、神の働きに従事する人なら日々福音を自分自身に適用することは、ミニストリーだけでなく、人生全般において極めて重要だと感じています。インテンシブでは、実際的にどのように福音を自分自身に適用していくか、働きの中心に福音を据えることについて深く学びますから、ぜひ多くの人に経験していただきたいです。
ーこれから教会開拓しようと思っている方にCTCJのインテンシブ参加をお勧めしますか?
先ほどお話しした点に加えて、教会開拓の働きでは開拓者は孤独になりがちです。インテンシブは短期集中型のトレーニングですが、その後も互いに関わって行く道が用意されています。コーチングやその他の地域別の学びやフェローシップを通して、フォローアップを受けることができます。行き詰まった時、相談できる人たちができるということですから、これから始める方にはとても助けになると思います。またすでに既存の教会やミニストリーで働いてこられた方たちにとっても、経験や知識が増えて来ると、どうしても自分自身の成功体験や過去のやり方に偏りがちになるかと思います。自分の枠を広げる意味でも、また今後自分の教会から開拓教会を送り出す可能性などを考えると、インテンシブで初心に返って学び直すことには意義があると思います。実際、前回のインテンシブではそういう方たちの参加も見られました。
ーインテンシブの応募方法について簡単に教えてください。
まずHPから申し込みフォームに記入して送っていただきますが、これで参加が決定するわけではありません。応募していただいてから評価プロセスというものがありますが、これはいわゆる受験や採用の合否判定とは異なります。それぞれ応募者のこれまでの経験、現在及び将来の必要などを詳しく知って、最善のタイミングでトレーニングを受けてもらえるよう精査するプロセスのことです。これにはご自分だけでなく伴侶や上司、同僚、部下、ご友人といった周囲からの推薦や評価も記入していただく必要があり、そのプロセスを経て正式にインテンシブ参加への招待が通知されます。残念ながら今回インテンシブの定員に入れなかった場合でもコーチングや学びの機会は提供されます。
ートレーニングに参加するだけにしては煩雑なプロセスですね。
そうですよね、笑。でも自分自身を見つめ直すといった点でとても有用だと思います。このプロセスで採用されている調査方法の一つは人事のプロが作成したもので、自分の強み弱みをより具体的に調べられるのでそれだけでも応募者の働き方や人生そのものに大きな助けになると思います。
また、CTCJの開拓者へのトレーニングは、単に2週間のインテンシブだけではなく、その後2年にわたって提供される様々な学びやコーチングなどのアフターケアを含めて一つのパッケージなんです。その期間に出会う仲間やコーチ、友人といった関係は生涯にわたり貴重な財産になるでしょうし、全国に広がる開拓者の横のつながりとしても心強いものになります。全国に仲間がいるって思うだけで励まされませんか?
もちろん皆さんすでにそういった関係やネットワークがあるかもしれませんが、福音中心の開拓、人生、生活を目指すことを軸に、ともに学び、祈り、励ましあう、いわば宣教のサードプレイスみたいな存在でしょうか。
ー2週間という期間や、約20万円の参加費用、とても手が届かないという印象も受けますが…
わかります! 特に子育て中の方や、経済的に厳しい状況にある方はこれだけで無理だと思ってしまわれるかもしれませんね。ただ費用見積(評価費: ¥22,000 /教会開拓者、登録費: ¥28,000 /一人もしくは夫婦、宿泊費: 推定 ¥118,000/室、食費: 推定 ¥36,000 /人、現地の交通費: 推定 ¥6,000 /人)を見ると参加費にあたるものはほぼありません。実質は宿泊費含めての実費ですから、相場からいうととてもリーズナブルなんです。これはPIFシステム(詳しくは→こちらをクリック)の恩恵とも言えます。
もちろん状況に応じたディスカウントも多少用意しているので、迷っている方はまずはご相談ください。
また通常、インテンシブ二週目にはパラカレオという、開拓者の妻のためのセミナーが同時開催されます。これもまた大変好評ですからご夫婦での参加を検討することを是非お勧めしたいです。仕事や子供のことなど考えるとハードルが高いと思われるかもしれませんが、少しでも興味があるならまずは祈ってみるところから始めてみてはいかがでしょう。神様はいつでも私たちの想像を超えた働きをされる方ですから。
ー今後、インテンシブについて、日本でどんな活動や展開を期待していますか?
やはりインテンシブを受講した人たちが横に繋がり、互いに教え合い、励まし合いながら、日本全国の教会開拓を支援する動きになって行くことですね。皆さんの応募をお待ちしています!
島谷知明→プロフィール
Tomoaki Shimatani