東京センターチャーチ（TCC）の牧師の下村明矢と申します。我が教会はCity to City Japanのネットワークの10番目の開拓教会として、2019年12月銀座を拠点にスタートしました。今回は自己紹介を兼ねて、お証しをさせて頂きます。まずは救いのお証しから。
私の父は中国人、私はハーフです。日本生まれ、日本育ちですが、生まれた時から１３歳まで、父の中国姓を名乗っていたということもあり、なにかといじめられました。「中国人は中国に帰れ！」と言われ、泣きながら帰って来る私たち兄弟を見て、「その悔しさを忘れんと、勉強で見返したり！」と母はいつも私たちを叱咤激励しました。それ以来、腹立つやつを思い浮かべて「お前になんか負けへんぞ！」と。とにかく「怒りこそが人生を生き抜くパワーや！」と思って私は大きくなりました。
1980年、大学2年の秋、私は短期留学で生まれて初めて中国へ行きました。その時同行したクリスチャン女性が、中国語の聖書を200冊持ち込んでおり、彼女の聖書運びの手伝いとして家の教会（地下教会）に初めて足を踏み入れました。そこで出会ったのが地下教会のリーダーの袁さんです。彼の涙ながらの証しに心動かされ、私は帰国後教会に行き始めます。というのも、二十歳の私のそれまでの歩みは、残念ながら怒りと憎しみでしたが、袁さんは同じ20年という期間を収容所で過ごし、大変な迫害、洗脳にさらされながらも、キリストの愛に生きて来た人だったからです。この人の慕うキリストってどういう人や、という思いでした。
それから一年たった大学３年の秋、私は部活の合気道でインカレ優勝、全国制覇を果たしました。が、そこに至る私のエネルギーは、相変わらず怒りと憎しみでした。まず代表を決める紅白試合が学内にありましたが、無二の親友、生涯の友N君にも、試合場で相対すると「お前は俺の行く手を邪魔するんか。なら殺す！」と、そんなネガティブな闘争心を持っている自分に気付き、愕然としました。そんな自分が情けなく、イヤで仕方なかったけれども、そう思わないと頑張れない、何の力も出ない悲しい自分がそこにいました。
しかし、とにかくその勢いで大会では優勝を果たし、翌聖日は勢い込んで教会に向かいました。みんなに報告して、優勝をほめてもらいたい一心でした。礼拝はすでに始まっており、一番後ろの席に座り「早よう終わらんかな」と思ったその時、みことばが私の心を突き刺しました。『人はたとえ全世界を手に入れても、真のいのちを損じたら何になるでしょう。その人はそれを買い戻すために、いったい何を差し出せばよいのでしょう。』(マルコ8:36)「ああ、これ俺のことや。俺は完全にいのち失っているわ。全世界どころか、日本の大学で、合気道で、たった一回優勝しただけじゃないか。何を浮かれとるんや！ 俺はなんとしょうもない人間や。」
みことばは続きました。『人がその友のために命を捨てる、これよりも大きな愛はない。』(ヨハネ15:13)「友のために命を捨てる？ イエス様のことか。俺は友のために命を捨てるどころか、自分のためやったら友達でも平気で殺せる男や。俺の心には、愛なんかひとっかけらもない。怒りと憎しみだけや。俺はなんと寂しい人間や。こんなんで俺、どんな成功を収めても、幸せになれるはずがない、人を幸せに出来るはずも無い。ああ主よ、俺はこんな人生イヤです。でも主よ、僕自分ではよう変わりません。どうか僕を変えてください。袁さんみたいに愛を原動力に生きられる人間にしてください。」人目もはばからず泣き崩れ、その日私は、私のこの罪のために十字架にかかってくださった主イエス・キリストを、私の唯一の救い主として受け入れ、信じ、救われました。
父は日本に来る前に大陸に2つも家庭を持っており、母はそんなことはつゆ知らず結婚しましたが、そんな風に母を苦しめ続けた父は、わたしにとって長い間赦せない存在でした。しかし救われて36年、主は私を作り変え、その父を赦す愛をくださいました。そして今は、東京センターチャーチを通じて東京都心に福音を宣べ伝え、またそこで出会う中国系を初めとする国際ビジネスマンの方々を宣教師として育て、中国をはじめ世界に送り出すこと、それが私の長期ビジョンの一つとなっています。
著者 下村明矢
Akiya Shimomura
東京センターチャーチ牧師。1983年大学卒業後、伊藤忠商事に入社、得意の中国語を活かし、北京・上海合計14年間駐在。2011年JTJ卒業後、東京御茶ノ水で、ビジネスマン向け伝道集会を主宰、2014年聖契神学校入学。2019年4月福音自由教会国内宣教師（牧師）任命、2020年より現職。
