私の人生(2)

 前回に続いて召命のお証しです。

 大学4年生のクリスマスに受洗後、神学校か、すでに内定を頂いている商社か、卒業後の進路に迷い、牧師に相談しました。すると牧師の答えは、「ビジネスをしてみたいという思いがあるなら、そちらで経験を積むのはいいことだ。もしみこころなら必ずいつか献身への道が開かれるから」というものでした。あの時代にそのようなアドバイスを頂けたのは、神の導きだったと今改めて思います。その後就職し、得意の中国語を生かして計14年間中国に滞在します。直近の中国駐在は2001年から09年までの8年間でしたが、その期間中、上海で「イエラエ」という超教派の無牧の集会で「世話人」を夫婦でさせて頂きました。集まる人たちは、単身か、家族帯同の駐在員が多く、仕事のストレスや人間関係で悩むそのような人たちを牧会したい、福音に生きるビジネスマンライフを励ましたい、ゆくゆくは中国での宣教にもつなげたいという思いが与えられ、JTJ宣教神学校の通信講座を08年秋から上海でスタートします。が、直後にリーマンショック発生、わずか半年後09年2月に帰国となり、同年4月から11年3月まで、昼は田島ルーフィングの仕事をしながら夜学で学びます。そしてJTJ卒業後、お茶の水クリスチャンセンターで、ビジネスマンむけの伝道集会を毎月第一月曜の夜持たせていただきました。月に一回、取引先、同僚、学校時代の友人らが、約20-30人集まって下さり、終了後は楽しい愛餐会を持つという形で、3年間過ごしました。継続的に出席くださる方たちが10人ほどいた中で、フルタイムの献身への思いが夫婦そろって与えられます。そして3年でその会を終了しますが、主に在る牧会のすばらしい予行演習の機会だったと感謝しました。2014年春、聖契神学校に入学。その時、夫婦同時に示されたみことばが、出エジプト3:10-12でした。同時に与えられたもう一つのみことばが創世記12:1-3。その両聖句の中心メッセージは「出て行きなさい」でした。

今、行け。わたしは、あなたをファラオのもとに遣わす。わたしの民、イスラエルの子らをエジプトから導き出せ。」モーセは神に言った。「私は、いったい何者なのでしょう。ファラオのもとに行き、イスラエルの子らをエジプトから導き出さなければならないとは。」神は仰せられた。「わたした、あなたとともにいる。これが、あなたのためのしるしである。このわたしがあなたを遣わすのだ。」(出エジプト3:10-12)

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主はアブラムに言われた。「あなたは、あなたの土地、あなたの親族、あなたの父の家を離れて、わたしが示す地へ行きなさい。そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとする。あなたは祝福となりなさい。わたしは、あなたを祝福する者を祝福し、あなたを呪う者をのろう。地のすべての部族は、あなたによって祝福される。」(創世記12:1-3)

 それ以来、主は常に「出て行きなさい」と私の背中を押してくださり、私は「今度はどこへ出て行けばよいですか」と問いかける、それが今日に至るまでの主と私との会話となっています。とにかくあなたは留まることなく、出て行き続けよと主は語られます。


 肝心の礼拝場所についてですが、私個人としては、2017年から小学生対象の合気道教室の講師として週に一回通っていただけで、当初何の伝手もありませんでした。が、「大江戸月島スポーツクラブ」という、その合気道教室の母体でもある、中央区運営の倶楽部があり、そこが、「今後漢字を教えたり宿題を見たりする『寺子屋』を始めたいのだが、その講師にならないか」とのお話を下さり、それを2019年の5月から始めました。そのお話をお承けする時、「私たちは宣教師としてこの月島に来ているので、勉強を教える傍ら、聖書のお話もしたい」という希望をお伝えしたところ、「心のケアを必要としている子もいるので、宗教を強制しない限り問題なし」とのお墨付きを頂き(もちろん強制なんかするはずありませんので)、喜び踊ったことを覚えています。それは公立小学校の教室を借りての勉強塾であり、そこで聖書の話ができるというのは、コストがかからないという点でも、かつ親御さんにも信頼して頂ける場所という点でも、この上ないCSの場であって、主の御名を崇めました。

 2019年12月から、福音自由教会協議会の加盟教会として、東京センターチャーチが正式に発足し、まずは月島の自宅で礼拝を開始しました。その後、礼拝場所を捜す中で、中央区の持ち物である「銀座ブロッサム」という結婚式披露宴会場を礼拝場所としてお借りすることができるようになりました。これも、常識的にはあり得ないことですが、「用途:礼拝」と明記して、区の施設の貸し出し許可が下りたわけです。かつ銀座という場所にもかかわらず、区の施設ゆえ格安レンタル料です。ここでモノを言ったのが、私たちがすでに寺子屋で、中央区の子どもたちの勉強を助けているという信頼と実績でした。これも神が、この教会開拓を自ら押し進めてくださっていることのリアルな証しであり、夫婦そろって再び主の御名を崇めた次第です。


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著者 下村明矢

Akiya Shimomura

東京センターチャーチ牧師。1983年大学卒業後、伊藤忠商事に入社、得意の中国語を活かし、北京・上海合計14年間駐在。2011年JTJ卒業後、東京御茶ノ水で、ビジネスマン向け伝道集会を主宰、2014年聖契神学校入学。2019年4月福音自由教会国内宣教師(牧師)任命、2020年より現職。