なぜ教会を開拓するのか パート2 

教会を開拓する理由 「大宣教命令に忠実に従いたいから」


以下の要素を見てみましょう。

1.新しい会衆には大体ある程度若い世代が集まります。古い会衆には伝統(礼拝時間、礼拝時間の長さ、感情的な応答の程度、説教のトピック、リーダーシップのスタイル、情緒的雰囲気、その他多くの小さな習慣)があります。教会を運営する影響力と経済力をもつような、前の世代から長く携わってきたリーダーの感性のようなものでしょう。そのような慣習をただ守り続けているだけでは若い世代に効果的に届くことはできません。


また、新しくきた人を迎えやすいのはほとんどの場合、新しい会衆です。古い会衆では新しいメンバーがリーダーシップを取ったり、影響を与えられる立場につけるまで10年くらいはかかるでしょう。新しい会衆では地域に長く住む人と同様に新しい住民も影響力をもつことができます。


そして、新しい社会文化的グループを受け入れやすいのは大抵新しい会衆です。例えば、都市に勤務するホワイトカラーが古くからの地元住民の多くが農業従事者の郊外に引っ越した場合、既存教会が今までケアしてきた社会的グループに取り組み続ける一方で、新しい教会はそのような新住民の様々な必要に理解を示しやすいのです。また、地域の新しい人種グループにも、最初からその必要に向けて意図的に開拓された新しい教会が最も適しています。白人系住民ばかりの地域の33パーセントがヒスパニック系になった場合、あえて双方の人種を含む新しい教会の方が、地域の古い教会よりも、新来者に「文化的スペース」を与えやすいのです。


最後に、全く新しい移民のグループには、ほとんどの場合、その言語で宣教する教会が最も効果的です。新しい移民グループが現地の文化に馴染むまで待っていたら、彼らに届くことができるまで何年もかかってしまうでしょう。



注:新しいグループのための新しい会衆は多くの場合、既存の教会の枠組みの中で作られます。日曜の通常礼拝に加え、違う時間に始まる礼拝や、ハウスチャーチネットワークの一つとして母体である既存の教会につながる形です。そういった場合、全く新しい独立した会衆ではないかもしれませんが、同じような機能を果たします。



まとめると、新しい会衆は、古い会衆に比べ、もっと速く、容易に新しい人々の力になることができます。既存の古い教会よりも大規模な関わり方ができてきたし、これからもそうでしょう。宣教の最前線、福音が届いていない国がキリストを受け入れるようになるだけでなく、いわゆるキリスト教国が単にクリスチャンであり続けるためにも、激しく、また幅広い教会開拓を続けていかなければならないのです。



2.新しい教会は、まだ福音を知らない人に最も届くことができる



教派教団に関する幾つかの研究結果からは以下のような点が明らかになっています。一般的な新しい教会では、新会員となったほとんど(60~80%)が過去に他の教会に属したことがありません。しかし10~15年経った既存の教会では80~90%の新会員が他教会からの転入会者です。 これは同じ規模の古い会衆に比べて、一般的に言って新しい会衆では6~8倍の新しい人々を迎えられるということです。



新しい教会では提供できない物を多く備えている既存教会が、新教会のほどには新しい人を神の国に招き入れられないのはどうしてでしょう。会衆が年を重ねると、内部組織の強力な圧力が、資金やエネルギーを建物の外側より会員のために使うよう働きかけます。これは当然なことで、むしろとても良いことです。古い会衆には多くの人が築き上げてきた、そしてその規模に必要な安定感があります。

古い教会が新しい人々を引き寄せないということではありません。実際地元で長く根付いて安定感があり尊敬されている教会に多くの人が導かれています。



一方、新しい教会では一般的に言って新来者たちがまず新しい一歩を踏み出すための必要に集中せざるを得ません。新しい教会では多くのリーダーも最近教会に行き始めた人たちなので、まだ信じていない人たちの懸念には特に敏感です。また、クリスチャンになって最初の2年は、その後に比べて信者でない人とかなり親しい関係があります。結果、最近信者になった人たちでいっぱいの教会には、信者でない人たちを教会生活やイベントに招いたり引き寄せたりする力が、すでに出来上がった既存教会よりもあるのです。



では実際にはどうすればいいのでしょう。私たちの住んでいる都市で伝道したいなら、古い既存の教会ををもっと伝道中心に刷新するべきでしょうか。それとも、新しい教会をもっと開拓すべきでしょうか。これは決して 2つから1つを選ぶ質問ではありません。両方とも必要だからです。もちろん前述したように時には例外がありますが、新しくクリスチャンになる人たちをより多く永続的に教会に招くには、新しい教会を開拓するしかないのです。




例えば、同じ規模でそれぞれに会衆100人の教会が100件あるA市、B市、C市があったとします。A市の教会はどれも15年以上の歴史があります。そのうち4つか5つの教会が時流に合わせた方法で礼拝者が2倍に増えたとしても、市全体の礼拝者数は減っています。B市には15年未満の教会が5つあります。比較的新しいそれらの教会は、他のいくつかの古い教会と共に新しい人々をキリストに導いています。しかしこれでは古い教会の自然な減少を穴埋めしているに過ぎません。結局、市全体の定期的な礼拝者数は変わりません。最後に、C市では30の教会が設立して15年以下です。この市では、定期的な礼拝者の総数は1世代で50%増加するでしょう。




反応

「でも」と反論したい人も多いでしょう。「援助が必要な既存教会はどうしたらいいのですか? 無視するんですか?」と。全く違います。

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ティモシー・ケラーの「援助が必要な既存する教会はどうしたらいいのか?」という問いに対する回答は「パート3」をご覧ください。




著者:ティモシー・ケラー

Timothy Keller

ニューヨーク市でリディーマー長老教会を開拓。ニューヨークタイムズのベストセラー、「The Reason for God」「Prayer」著者。世界各国で380以上の教会開拓に協力したNPO法人リディーマー・シティー・トゥー・シティー理事長。 妻キャシーとニューヨーク市在住。